火車迷的臺灣旅遊
〜台湾を鉄道で旅する〜
台湾の超特急・自強号。
出発まで
「みなみのしま」へ行こう!
私はこれまで海外へは 7 回程行っているが、それは全て「海外出張」であり、「海外旅行」というものは一度もしたことがない。 そこで、夏休みを利用して「海外旅行」というものをしてみようと思い立った。 以前から「最初の海外旅行はアジアのどこかにしよう」と決めていたので、悩んだ末に行き先は台湾に決定。
台湾へは 2 回出張したことがあるが、休みに一度だけ故宮博物院へ行った程度で、後は仕事して寝るだけの毎日であった。 しかしある程度の慣れはあるし、そもそも台湾には以前からずっと興味を持っていたので、最初の旅行先としては申し分ない。 但し台湾は暑いので、夏休みの時期をずらして秋以降に旅立つことにした。
台湾旅行を思い付いた頃、BADGER氏による 「'96 臺灣鐵路紀行」というページを偶然見付け、非常に感銘を受けた。 私は「鉄道ファン」や「鉄道マニア」と呼ばれる人種ではないが鉄道旅行、特にローカル線での旅行が大好きであり、休日などはよく一日中ローカル線の列車でのんびりと過ごしている。 氏のページの影響で、私も台湾の鉄道の乗り潰しに挑戦してみようと考えた。 かつて出張の際、台湾で鉄道に乗った時に持った「日本の鉄道と似てるなぁ」という感想が、「台湾での鉄道旅行」に更なる興味を持たせたのかもしれない(*1)。 台湾の鉄道には台鐵、阿里山森林鐵路、MRT(台北市の地下鉄のようなもの)の三つがあるが、MRT にはあまり興味がなかったので、乗り潰しの対象は台鐵と阿里山の二つとすることにした。
勿論、乗り潰しだけが今回の台湾旅行の目的ではない。今回の旅行には他にも以下のような目的を設定した。
- おいしい餃子をたくさん食べる。台湾出張時に台湾の餃子にハマり、再び食べたいとは常々思っていた。
- 「鉄道での旅」を存分に味わう。台湾にはまだ客車列車が数多く残っており、それらがなくなってしまう前に日本では味わえなくなった「客車の旅」を心行くまで味わってみたいと思っていた。
- 阿里山の御来光を拝む。阿里山は海抜 2,000m を越える山であり、そこから見る御来光は台湾観光のハイライトと言ってもよい。
- CD を買い込む。私はアジアンポップスが大好きなので、現地で CD を買い込んでくるのが出張時の楽しみであった。
ところで、事前に現在の台湾のことを少々調べてみたのだが、1999 年の台湾中部大地震の影響が意外と大きいことを知った。 特に、阿里山山頂を走る阿里山森林鐵路の眠月線が大地震の影響で不通になってしまっていることはショックであった。「眠月(ミンユエ)」という地名は、かつて東京帝大の琴山博士(阿里山森林鐵路の設計者でもある)が調査の為この地を訪れた際、「明るく美しい月に照らされた幽玄な風景に感動して夜も眠れなかった」という故事から命名されたほどの素晴らしい風景である、という話を聞いていたので、これに乗れないということは本当に残念である。
*1: もっとも、「台湾の鉄道を全線乗り潰してくる」という今回の旅の目的を話すと、誰もが「鉄道マニアな人なんですね」と言ってくれたが。
日程の決定
旅行時期としては、「寒くなりそうな時期に暖かいみなみのしまに行くのがいいな」などと考え、当初は 11 月あたりを予定していた。 しかし、ボロクソな仕事を担当させられたおかげで旅行どころではなく、その仕事を抜ける 12 月近くまで、「みなみのしま」行きは断念せざるを得なかった。 もっとも、当初予定していた 11 月上旬には台風が台湾に上陸。 その時期に行っていたとしたら台風で旅行どころではなかった、というのは幸運であったのかもしれない。
さて、12 月にようやくそれまでの仕事から抜け出すことが出来、ある程度スケジュールも自由になりそうになってきた。 準備の時間やその他諸々の諸要因について考えた結果、「みなみのしま」へ渡るのは 3 月の初旬にすることに決めた。
ところが 1 月下旬のある日のこと、上司からの指示で別部署のプロジェクトに参画させられることとなった。 仕事の内容はかなりハード、開発期間は実質 1 ヵ月(しかも 2 月は 28 日しかない)、スケジュール表には「到底無理だ」と言わざるをえないような線引きがなされていた。 お蔭で 2 月は奴隷を越えて家畜以下の扱いで仕事をしており、「ああ、こんなことなら C でのプログラミングなんて覚えるんじゃなかった。VB のプログラマになるんだった」などと寝惚けたことを何度考えたことか
勿論、毎日残業の上、土日もほとんど出勤していたためにまともな渡航準備は出来なかったのだが、「台湾なら現金があれば何とかなる」とちっとも物事を深く考えていないところは相変わらずである。 しかし無理がたたったのか 2 月下旬から風邪を引いてしまい、結局この風邪は出発まで治ることはなかった。前途多難である。
旅行の準備
仕事が忙しすぎて旅行準備の時間は殆んど取れなかったが、それでも最低限の準備だけは行った。
台湾へ渡航するための航空機は、マイレージを持っているノースウェスト航空とした。 チケットは職場の傍の H.I.S. で購入。当然ながら格安航空券である。 価格は 42,000 円程度だったが、行きは夕刻に日本を出発、帰りは超早朝に台湾を出発という、初日と最終日が完全に使用不可能になるチケットである。 おそらく探せばもっと安いモノもあったのだろうが、とてもそんな時間はないのでこれで手を打つことにした。 ちなみにノースウェスト航空は台湾では「西北航空」。そのまんまですな。
台湾到着が深夜になることが確定したので、少なくとも最初の 1 泊目の宿だけは日本から予約しておかないと現地で路頭に迷う可能性がある。 そこで初日と、用心のために最終日の宿だけは日本から手配。 2 泊分で 12,000 円程度であった。 勿論、旅行保険にも加入しておく。こちらは 16,000 円程度となった。
また、旅行にはカバンが必要だ。 今までの出張では常に、車輪付きのスーツケース(機内持込可能なギリギリのサイズ)を使用していた。 しかし移動を全面的に鉄道に頼る以上、ラゲッジスペースもない一般の車両にそのようなカバンは持って入れないし、通常の移動の際にも困難が予想される。 そこで、大きなリュックを持っていくことに決め、登山用具などを扱っている店で、60 リットルサイズのリュックを購入(*2)。 自分の上半身のサイズよりも大きなリュックだ。 この巨大なリュックは台湾の行く先々で良くも悪くも注目を浴びたが、台湾の人々との会話のきっかけともなってくれた。 同時に雨具代わりのウィンドブレーカーを購入。 これなら手軽な防寒着にもなる(結局、殆ど毎日これを上着代わりに着ていたのだが)。
旅行記を書くために携帯端末を持っていこうと考えたが、何を持って行くかでちょっとだけ迷った。 普段使っているのは Windows 2000 が入った VAIO なのだが、1kg を超える重量は少々負担だし、何かあった場合のダメージが大きすぎるのであっさり没。 ザウルスは軽いが、長文の入力には不利。 Libretto も軽くていいのだが、バッテリの持ちが悪すぎて使えない。 そこで、以前に知人から頂いたモバイルギア(以下「モバギ」)を持って行くことにした。 これならキーボードも大きいし、電池も持つから一日中使える。
このモバギは元々 PocketBSD を使いたくて知人から頂いたものだったのだが、なかなか暇が取れずにそのまま手付かずになっていたものである。 早速 PocketBSD をセットアップし、普段使用しているエディタである Mule が使える環境を構築。更にキーボードも JIS 配列から US 配列へと変更したので、文字入力には全く申し分ない環境になった。 しかし、台湾では街中や列車内でノートパソコンなどを使用している人など、全くと言っていいほどいない。 おかげで、モバギを使用している姿は多くの台湾人の関心を引いてしまった。
台湾の旧い建物や鉄道風景を写すために、カメラを買おうと考えた。 実は私は写真というものが撮るのも撮られるのも好きではなく、これまで自分の意思で写真を撮影したことがない。 自分が写っている写真も現在は殆ど持っていない。 私の人生における一番の心配事とは、将来「知ってるつもり!?」や「波乱万丈伝」に出演したときに、自分の過去を物語る写真がないから困るだろうなぁ、ということなのだ。 また、写真を撮るとそれで満足してしまい、今現実に目の前にあるものを観なくなってしまうのも怖い。
だが今回は珍しく写真を撮ってくる気になったので、適当なカメラを購入して旅行に持っていくつもりだった。 だが言うまでもなくそのようなヒマが取れなかったので、出発当日にレンズ付きフィルムを購入するに留まることになった。
*2: 日本に帰った後で登山をするご隠居にこの話をしたら、「フツーのヒトはそんなデカいものは使わない」と言われてしまった。
台湾の鉄道に関する最低限の知識
台湾の鉄道に関する詳細な説明については別頁を参照していただくとして、ここでは大まかな説明だけをしておこう。
台湾では鉄道を「鐵路(テールー)」、列車・汽車は「火車(フォーチー)」、駅は「車站(チーツァン)」又はただ単に「站」と表記する。 日本でいうところの「汽車」は車のことであり、「汽車站」とはバスターミナルを意味するので注意する必要がある。
その他の用語としては、プラットフォームは「月台(ユエタイ)」、切符は「車票(チーピャウ)」、車掌が「車長」(チーツァン)、往復は「去回(チーフェー)」となる。 ちなみに、鉄道ファンは(この文書のタイトルにもあるように)「火車迷」だ。
台湾には
- 交通部台灣鐵路管理局(以下「台鐵」と称する)
- 台北捷運
- 台湾省林務局
の 3 つの組織が旅客営業をする鉄道を保有している。 台鐵が国鉄に相当するということは言うまでもない。
台北捷運は台北市内の交通機関である「MRT」を運営しており、(例えは悪いが)日本の営団や各市の交通局を連想していただければわかりやすいだろう。 また、台湾省林務局は阿里山の森林鉄道を運営している。 ただ単に「台湾の鉄道」と言った場合、通常は台湾島を一周する路線と、3 本の支線を持っている台鐵の営業路線がメインとなるであろう。
台鐵の列車の等級は 6 つに分かれており、「自強号」(ツーチャンハォ、超特急に相当)、 「呂光号」(チークヮンハォ、特急に相当)、 「復興号」(フーシンハォ、急行に相当)、 通勤電車、平快車(快速に相当)、普通列車となる。 料金は挙げた順番に高いが、「復興号」と通勤電車、平快車と普通列車はそれぞれ同じ運賃となる。